Loves Jack Jack Stories ナガオカケンメイ

江戸時代創業の企業も取引相手。ロングライフ企業や製品のブランディングを手がけるのが、ナガオカケンメイ氏だ。創業150周年のジャック ダニエルは愛すべき対象だと語る。ウイスキーとしても、ジャック ダニエルの大ファン。自宅ではボトルを切らしたことがないほど“愛飲”している。

ナガオカケンメイ

東京・世田谷の「D&Department」や渋谷ヒカリエ内の「d47」といったショップを運営するナガオカ氏。日本全国からロングライフデザインのいいものを“発掘”する鑑識眼には定評がある。同時に長い間同じものを作り続ける企業のブランディングの腕前も評価が高い。

ナガオカ氏は、ジャックダニエルを切らすことはない、というほど、このテネシーウイスキー一筋。飲み方はストレートに決めている。

「自分の原点はグラフィックデザイナーで、自分のデザインに手を加えられるのがすごいイヤだったんですね。たまに原稿も書くんですけど、(編集者に)句読点の一個所でもいじられたらすごいイヤじゃないですか。だから、他の人が作ったものでも、きっと手を加えられたらイヤだろうなと思ってしまうんです。で、ジャック ダニエルも、作り手に敬意を表して、常にストレート。それ以外の飲み方はしません」

ナガオカ氏が気に入っているのは、口あたりのよさと言う。仕事から帰宅して、好きな重たいグラスにジャック ダニエルを注ぎ入れ、好きな映画のDVDを再生する。気がつくと、ボトルが空に近づいていることもあるそうだ。それだけ自然な味なのでしょうとナガオカ氏。

ナガオカさんの専門分野であるロングライフブランディングの観点からみても、ジャック ダニエルには尊敬すべき点が多い。

ナガオカケンメイ

「ことさら派手に製品広告を打たずに、自分たちの信じる製品づくりをこつこつと続けているところは尊敬に値します。黒地に白文字を使ったエチケットの意匠も、変えるのが難しいぐらいイメージが定着しています。一般論ですが、ロングライフプロダクトが長寿であり続ける理由が10あったら、見た目のよさは単に項目の1つにすぎません。あとの9項目は、企業努力だったりファンとの良好な関係性だったりします。ブランドというのは、原点の上に新しさが立っているもの、と僕は定義していますが、ジャック ダニエルには、味はもちろんですが、地元ですごく愛されているウイスキーじゃないかなと感じています。大きなマーケットよりまず地元。そういうプロダクトが、長い間愛されているんです」

もしジャック ダニエルが自分に広告を頼んできたらどうするか。ナガオカ氏は言う。

「僕は職業柄、このウイスキーをどうプロモートするか考えるのが楽しいです。第三者が魅力を語るのが最も合っているでしょうね。なにしろ、ずっと自分たちのスタイルで貫いている。それを広告でゆがめる必要はありません。ありのままの魅力を伝えるのが最も合っていますよね。ジャック ダニエルを飲みながらボトルを眺めていると、企業姿勢がぼんやりと見える気がします。僕にはそれが安心感と映りますね」

「ジャック ダニエルこそ、ロングライフデザインの王様といっていいでしょう」、とナガオカ氏。ジャック ダニエルに対する愛を感じられる一言だ。

ナガオカケンメイ
ナガオカケンメイ
デザイン活動家
ロングライフデザインをテーマとしたストア「D&DEPARTMENT」を国内外11ヶ所に展開。旅行文化誌「d design travel」発行人、日本初の47都道府県をテーマとしたデザインミュージアム「d47 museum」の企画運営など息の長いその土地らしいデザインの発掘、紹介を行っている。ロングライフデザインの研究所「D&DESIGN」(http://danddesign.co)主宰。2013年毎日デザイン賞受賞。武蔵野美術大学客員教授。京都造形芸術大学教授。
Jack Stories